訪問介護ヘルパー国家賠償訴訟のゆくえ

ヘルパーの労働条件が劣悪なのは、介護保険制度に原因がある。
 
3人のヘルパーさんがそう訴えて、国家賠償を求めた裁判の判決が11月1日に下されます。
 
原告の訴えは
「訪問介護を担う大半の登録ヘルパーは、実際にサービスを提供した時間しか賃金が支払われない。移動や待機時間はほぼ無給で、利用者が突然キャンセルした時の休業手当も出ない。こうした労働基準法違反の状態を国が放置し、規制権限を行使しなかったのは違法だ」
というものです。
 
これに対して、国は
「賃金支払いは事業所の義務だ」
と原則論で反論しています。
 
移動や待機時間・休業手当を事業者が給与を払えるだけの介護報酬を国は設定していない、という原告の主張に対しては
 
介護報酬算定の根拠も答えず、ヘルパーの労働環境については、調査をする予定もないと答えています。
 
(ここまで東京新聞の記事を参照)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/208963
 
6月に、労働基準監督署に伺って、
「かつて、当社にヘルパーの移動時間について、指導にお越しになられましたが、近隣の事業所には、移動時間について賃金支払いをしていないところもあり、こうした事業者間の不平等是正をお願いできませんか?」
と質問したところ、
「手当をどのようにするかは、事業所の裁量」
という予想外の回答で取り合ってもらえず驚いたのですが、この訴訟での答弁がらみで、中央から対応の指南があったのかもしれません。

それと、介護報酬を決めた根拠を提示しないという国の対応も、残念に思います。

訴訟戦術なのかもしれませんが、○○単位というのが行き当たりばったりで決まっているような印象を受けてしまいます。
まさか、ホントに根拠がなかったということはないですよね....

過去にも、介護給付費分科会で「登録ヘルパーの賃金が高い・安い」の議論があり、介護報酬も俎上にのぼっているので、こうしたところを曖昧にしたままというのは、今後の報酬改定に説得力を欠きはしませんでしょうか?

判決ですが、原告の訴え棄却か、敗訴となるように思います。(少なくとも賠償は認められない)
「介護保険制度に問題がある」
と認めるわけにはいかないでしょうし。
 
ただ、判決確定後に労働基準監督署が指導・点検に動きだすということはあると思います。
 
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【2022.10.20掲載記事】
 
 

2022/10/20
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