この本は笑うセールスマンが表紙になっていますが、喪黒福造は出てきません。
著者は橘玲氏。この人の切り口はなかなか斬新で惹きつけるものがあり、「黄金の羽根の拾い方」 以来、著作は目を通しています。
今回は、「進化論」 を拠り所に様々なことを考察しています。
「生き残った者だけが、生き残る。」 という単純な原理から、ヒトが文明を持つようになって5千年程度、原始人のころから受け継がれてきた遺伝子プログラムの方が遥かに長い。だから、この視点から物を見た方が適切な答えを導き出すことができる、と。
この本の中では、ベーシック・インカムについてもとりあげています。
20歳以上の国民に一律月額7万円を支給する、という制度のことですが、
これは 「愚者の楽園」 になると切り捨てています。
1975年のイギリスで「一人ひとりに所得に関係なく最低所得が保証されるべきである」 という法律ができ、イギリス全土に急速に広まったが1834年に廃止されました。
何が問題だったかというと、
まず、労働の倫理を破壊しました。
努力してもサボっても所得が一緒になるならバカバカしいと、人々は自尊心を捨て、貧乏を好むようになりました。
すると、賃金が下がりました。ただ働きさせても、差額の賃金が税金から支払われるなら給料を支払う理由がありません。
結局、「物乞いなんてご免だ。」という自立心のある人たちが最大の被害者となり、賃金が大幅に引き下げられて大半が破産してしまいました。
こうしてユートピアの実験は、ものの見事に失敗したのです。
橘氏は、同じヒトである以上、200年前のイギリス人も現代の日本人も大差なく、ベーシック・インカムも「愚者の楽園」を生み出すでしょう と述べています。
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【2013.1.8掲載記事】