御用聞きケアマネについての認識

4月27日の介護保険給付費分科会で、日本慢性期医療協会会長の武久氏は、次のような発言をしています。
 
「ケアマネジャーさんというのは、御用聞きケアマネとかこの間言いましたけれども、これは非常に気の毒な状況にあります。利用者の言うとおりにしないと、ケアマネジャーを断られる。こういうプライオリティーが全くないような立場にケアマネジャーが置かれているということは、改善の余地があるのではないか。」
 
適切な見方だと思います。
 
その上で、武久氏は限度額いっぱいまで訪問介護を利用しているようなプランについて、
「介護認定時に堺では要介護者に対してのケアプランに意見を付すことができる。」
として、この意見を付したときに順守義務なり罰則なりをもって強制することを考えているようです。
利用者がいろいろなケアプランを勝手にやってもいいということの費用対効果を検証しないといけないと続けています。
 
この考えには賛成できません。
おそらく、意図しているのは介護保険法第37条(介護給付等対象サービスの種類の指定)だと思います。
たしかに区市町村は要介護者・要支援者の受けるサービスの種類を指定でき、指定した以外のサービスは保険給付対象外にすることができます。が、これは
 
特に医学的管理の必要性が高い等、被保険者の要介護状態の軽減・悪化防止に特に必要がある場合の特例的な措置
 
とされているので、
「訪問介護ばっかり限度額いっぱい使いやがって。けしからん、サービス指定して使えなくしてやる!」
ということはできないのです。
また、「利用者がケアプランを勝手にやってもいいということ」は、介護保険の理念である 「本人によるサービス選択」 に根ざしているものです。(当然、逸脱ケースもあります) 措置制度ではないので、区市町村が職権で利用調整はできません。
 
これを法改正や小手先の解釈変更で行うと、介護保険は創設当時からの理念を失ってしまいます。


ホームヘルパー募集中!
東京都豊島区の訪問介護事業所
ホームケアながさき


【2011.5.23掲載記事】


 

2021/9/9
東京都豊島区南長崎5丁目9番10号 レジェンド南長崎101